
で、一カ月くらい前に思い浮かんだ言葉が「かっこ」です。小かっこ( )、やカギかっこ「 」くらいは誰でも知ってますよね。中学の数学などでは中かっこ{ }、大かっこ[ ] が出てきたり、ほかにも、山かっこ<>、二重山かっこ≪≫、二重カギかっこ『 』、隅付き括弧【 】、亀甲括弧〔 〕等々、呼び名も複数あり、英語にはまたそれぞれ別名があり、別の記号もあります。
こういう括弧類に加えて、文書を書く際には、それぞれ役目を持った多種多様な記号が使われますが、それらを全部ひっくるめて日本の印刷の世界では「約物(やくもの)」と言われるのをご存じでしょうか? 「約」とは、締めくくるという意味だそうですが……。
よくクイズ番組などで「々」←これは何と読むのでしょう?などと出題されることがありますが、「同の字点(どうのじてん)」とか、記号の形から「ノマ点」と呼ばれたり……。パソコンでは「おなじ」で変換するとこれ以外にもいろいろ出ると思います。
私は訳あって、いろんな表記辞書を多種多様もってまして、どの場面でどの記号をどのように使うかなどを一生懸命覚えた時期があります。出版や放送業界、官公庁などでは、業界の大まかな取り決めプラス独自の表記基準を持っているので、表記に関する辞書類というのは多数出版されているんですね。
約物に関しては、ウィキペディアやその他、ネット検索すればいろいろ学べますが、中には読み方に迷うものもあるかもしれません。
例えば「・」「中黒」「中点」←これなんかは、なかぐろ、なかてんと読める方は少ないかもですね。
話がそれましたが、「かっこ」という言葉で何を思ったかといいますと、「括弧」にはやはり意味があったということに気付いたというだけなんですが(^^ゞ。「かっこ」とは何か、辞書を調べたことのあるかたはほとんどいないと思いますが、こういう誰もが知っている言葉の意味について改めて考えると、ああ、そうだったのかという発見があるものですね。
「かっこでくくる」と言いますが、括弧とは文字のごとく「弧でくくる」という意味ですから、これは厳密には二重表現、「頭痛で頭が痛い」という部類の表現になってしまいますが、まあ、許容の範囲でしょうね。
数学で「弧と弦」というのを習いますが、弧とは円周の一部の曲線ですよね。よく撓(しな)る木材などの両端にひもを付けて縮めれば、弓ができますが、その木材部分が弧となり、ひもが弦(つる)となるわけですよね。
ですから、括弧とは、弓なりの形状をした弧で何かを括( くく )るという意味だったのだと、ふと気がついたという次第なんです。大したことではないですが、私にとってはちょっとした発見でした。
あと、この記事を書きながら気付いたんですが、カギかっこのカギは「鍵」ではなく「鉤」なんですね。編み物をしたことのある方なら「かぎ針」をご存じでしょうけれど、鉤とは「先が曲がった金属製・木製の器具。物を掛けたり、とめたりするのに用いる」物ですね。もっとも鉤は鍵の語源だそうですが……。さらに鉤はハリとも読み、魚釣りの「釣り針」は「釣り鉤」とも書くそうです。なんとも漢字は複雑なものですね。
ところで、きょうふと思い浮かんだ言葉は「試合」。試合を英語にすると、ゲーム、あるいはマッチのようですが、「どうして『ためす』という漢字を使うんだろう。えっ?もしかして本番の戦いの練習だから? 命がけの果たし合いをするための予備練習?」と考えたのですが、辞書を調べてみると、これは私のまったくの妄想でした。詳しくは、大辞泉、大辞林の説明をご覧くださいませ。
なあんだ!当て字ですか。これでは漢字の意味を考えても正しい答えは出てきませんね。どうも私の勘は冴えていないようです(笑)。
ところで、漢字に魅せられた学者「白川静」さんについては、2年前、旧雑記帳No.44で12/14に書きましたが、あの方は2カ月前の10月30日に96歳で亡くなりましたね。毎日新聞記事のキャッシュに訃報が残っていますが、こういう骨のある方が亡くなるのは本当に惜しいことです。