
邦訳280万部突破!
世界的ロングセラー
悩みの正体を明らかにし、
悩みを解決する原則を具体的に明示して、
こころの闇に光を与える不朽の名著。
こうした本を若い頃に読んでいたら、私ももうちょっとマシな人生を送れたのではないか、などと思ったりもしますが、折り返し点をとうに過ぎてしまった私でも、読まないよりはいいでしょう、たぶん(^^ゞ。
…ということで、まだほんのサワリしか読んでないのですが、いきなり前の部分を飛ばして「PART6―批判を気にしない方法 22 私が犯した愚かな行為」という部分を読んでみました。――
さて、カーネギーは書棚に、「FTD」("Fool Things I Have Done"の略)という見出しを付けたファイルを置いていたそうです。それは自分がかつて行なった愚行の数々を記録したもの。単に一度反省して終わりではなく、同じ間違いを繰り返さないよう記録に残して、何度も見ていたんですね。
私の場合、愚かな発言をしてしまって反省することは多いのですが、そうしたことは思い出すのも恥ずかしく、出来れば忘れてしまいたかったりしますが、カーネギーの場合は秘書に清書させることまでして記録にとどめていたのですから、その謙虚さは半端ではありません。
こうした厳しい自己吟味を続けたカーネギーは次のように語ります。
私は自分が苦境に立つとよく他人を非難したことがあったが、年をとるにつれ、結局あらゆる不幸は自分の責任であることを悟った。多くの人々も、年をとるにつれて、それを悟るようになる。
「私の失脚はだれのせいでもない。自分のせいだ。私が自分自身の最大の敵であり、私の悲惨な運命の源であった」とナポレオンもセント・ヘレナで語っている。
他人と軋轢が生じる原因が自分自身にある、という場合が少なからずあることは、他人を見ているとよく分かりますが、自分のこととなるとなかなかそれを認めづらいのが人間ですね。単に意見が違うだけで問題が生じるとは限りませんし、トラブルの原因は意見の違いよりもむしろその言い方・伝え方である場合が多いかもしれません。
それには、言葉を吟味して使うという技術的な面も必要でしょうが、それ以上に大切なのは、3月3日に引用させていただいた品性のある人の次の特徴を表すことかなと思います。
「人間としての尊厳は平等であるという意識と、相手も自分と同じように、一度だけのかけ替えのない大切な人生を生きているのであり、その近親者たちにとってもかけ替えのない大切な存在なのだという想像力といたわりの気持ち」そうした相手に対する敬意なくして、多種多様な人々の共存はあり得ないと思うのですが……、ですが難しいのですよね。ついつい「自分は緑色が好きだ。赤が好きな人の気が知れない」みたいな反応をしてしまいがちで……。
自分の言動については反省しつつ改善するとして、他人から批判されたとき、それをどう受け止めたらよいかという点を述べるにあたって、カーネギーはリンカーンの次のエピソードを紹介しています。
ある利己的な政治家を喜ばせるために、リンカーンは二、三の連隊の移動命令に署名した。ところがスタントン(陸軍長官)は命令を拒否したばかりか、そんな命令に署名するなんて、リンカーンはバカ野郎だとののしったのだ。それからどうなったか?批判に対してこれほど穏やかに振る舞える人はめったにいないでしょうが、批判を拒絶する人というのも、ほとんど進歩しないように思います。
スタントンの言葉が伝えられたとき、リンカーンはおだやかに「もしスタントンが私をバカ野郎と言ったのなら、私はバカ野郎なのだろう。あの男の言うことはほとんどまちがっていないから。どれ、ちょっと自分で確かめてこよう」と答え、スタントンのところへ出かけていった。スタントンは命令がまちがっていることをリンカーンに納得させ、リンカーンはそれを取り消した。
話は変わりますが、私は、アンケートに答えると金券をいただけるというサイトに登録していて、時々CMや広告についての感想を尋ねられることがあります。その際、自由に感想を書いたりマイナスな評価も答えの選択肢にある業者と、褒め言葉しか答えられないようになっている業者があります。後者のような業者は少ないのですが、ひと事ながら、批判の中にこそ改善のためのヒントがあることに気づけない業者に未来はないでしょう、な〜んて思ったりします。
「批判をきちんと受け止めて反省してみる」。これは感情が受け付けなかったり、あるいは反省してはみても、そもそも自分を客観的に見ること自体が難しく何がどう悪いのかが分からないという問題もありますが、少なくとも批判に耳を傾ける価値だけは忘れないようにしたいものですよね。批判も貴重なフィードバックの一つであると……。
この本の中には、ほかにも自省を欠かさなかった人物や、進んで批評を求めた人たちが紹介されています(一応、著作権を侵害しないため、引用控えめを意識しつつ書いてみました(笑))。