高校時代、私が夢中になっていたのは「サイモンとガーファンクル」と、この「庄司薫」さんでした。「さだまさし」さんは、もうちょっとあとのこと。
庄司薫さんの著書を、私はそれはそれは大切にしていました。本は訳あって手放してしまいましたが、あれから30年以上の間、時々思い出しては「庄司薫さんは、今ごろどうされているんだろう」と思っていました。数年前、ネット検索してもほとんど情報がなかったのに、きょう検索してみたら、未知の情報がいろいろ出てきてうれしくなってしまいました。サイトはあとでまとめてご紹介しますが、同年代と思われる庄司薫ファンが結構いらっしゃるんですね。
「薫くん」シリーズが映画になったりテレビドラマになったり、改版が出ていたり…、知りませんでした。しかも1970年に制作された映画がDVD化されて、なんと来月5月26日に発売されるなんて! まだ作品は生きていたんですね。 久しぶりにワクワク・ドキドキしています。
この→ページでいくらか昔の装丁を見られますが、すごく懐かしい! 中村紘子さんがイラストを描いていましたね。そして、→こちらは年表です。若く、今よりもさらに世間知らずだった私が『中央公論』などという堅い雑誌を2年以上購読し続けたのは、1975年1月から『ぼくの大好きな青髭』が連載されたからでした。この雑誌が本棚を占領していたころ、読書に何の価値も感じない、今はなき母は、よく嘆いていました。お金がもったいないと(爆)。自分で働いて得たお金で購入してましたし、話して分かる問題ではないと思い、完全ムシしていましたが(^^ゞ。
ところで、「赤頭巾ちゃん気をつけて 改版」の解説には次のような文章がありました。
「たとえば知性というものは、結局はなにか大きな大きなやさしさみたいなもの、そしてそのやさしさを支える限りない強さみたいなものを目指していくものじゃないか…。」 <中略>柔軟な少年の語り口を通して、機知とユーモアにあふれ「やさしさ」という言葉の原点ともなった青春文学の永遠の名作。新たに「四半世紀たってのあとがき」を付す。
「やさしさ」とありますが、庄司作品の魅力は他者への温かい視線なんじゃないかと思います。若い時代というのは多かれ少なかれいろんなことに悩む時期で、かくいう私も例外ではありませんでしたが、そんな時やさしさ溢れた作品に接して心を癒やされたのだと思います。
もちろん年を取っても、生きてる限りいろんな問題との闘いは続くわけですが、自分が苦しく悲しい経験をするにつけ他者への思いやりの大切さを知る、それが知性のある人間が進むべき道だということなのでしょうね。人間特有の知性というものは、自慢し誇るために用いるのでなく、他者を思いやるために使うべきものではないかと思います。もしそうでないとしたら、人間社会は動物界にも劣る、弱肉強食の世の中になってしまうでしょう。しかし残念ながら、現実はかなりそういう傾向が強くなっているように思いますが…。
私が庄司さんの作品から受け取ったメッセージは、すべての人を愛せるような人間になりたいという思いでした。もちろん、相手の性格によって好き嫌いがあるのは自然なことですが、それでも同じ人間として敬意だけは失いたくない…、たとえ圧力を掛けられても他人をののしったり見下したりするような人間にだけはなりたくない、ずっとそう思ってきました。それというのも、ストレスを受けるとすぐに口汚くののしる母親を身近に見ていたせいかもしれません。
庄司作品に心動かされた私は、あのころ一字一句まで理解しようと辞書を引きながら注意深く読み、まだ高校生でありながら、一生この方の本を読み続けようとまで決意していました。現実にはできませんでしたが、それでもいつも心の片隅に、その精神だけは持ち続けていたように思います。
今回改めて調べてみると、まだ読んでいない作品が結構ありますし、たとえ読んだことのある作品でも、30年ぶりに読むと受ける印象も変わるかもしれません。なんだか今日は、タイムスリップしたようなうれしい発見の日となりました。お読みになったことのない方にも是非お勧めしたいです。楽しく一気に読めると思いますよ。それでは、以下にリンクを…。
★庄司薫(福田章二)の作品(雑誌初出版)(著作権で問題ありかもしれませんが、今は読めない作品も挿絵入りの雑誌の頁そのままで見られます)
★時代の児の運命-作家「庄司薫」の時代(詳しい分析あり)
★FontesAquarum:その他の国内文学の頁(庄司さんご本人との手紙のやり取りあり)
★駒場文学の思い出(庄司さんの学生時代のご友人のお話)
★福田章二論(2004/11・12月、2005/3月 新潮)
★mnp 庄司薫
★バクの飼主になろう
★The Ohashi's Site
<関連記事 4/28 赤頭巾ちゃん…再読中>
◇Amazonで[庄司薫]を検索する
何かお考えがあって何も発表していないんでしょうね。。。
それとも別の名前で発表している?
私も、また読み返してみようかなあと思っているところです。