2006年04月28日

赤頭巾ちゃん…再読中


4/19に書いた庄司薫さんの「赤頭巾ちゃん気をつけて」。Webで読めるので再読中なのですが、おもしろいです。

はた目には優等生の薫くん。自分が他人の目にどう映るかを気にし過ぎる、自意識過剰という気はしますが、他人の思惑が手に取るように分かってしまうからこそ、相手を傷つけまいとしていい子を演じてしまう自分を、
慇懃無礼いんぎんぶれい
でいやったらしい奴と言っています。が、それは仕方のないことかもしれません。
 学生運動のあおりで東大の入試が中止になり、折あしく当時、東大合格1位の日比谷高校3年生の薫くんは、周りじゅうから同情を注ぎ込まれる。「薫くん、たいへんね〜」と言いながら、どことなく嬉しそうにはしゃいでいるかのようなオバさま。自分がいかに受験生の理解者であるかということを、持てる知識を総動員して力説する悪意のないオバさま。

ちょっと反応が遅いと「あなた、ケーコートーねえ」(蛍光灯は電球より点灯に時間がかかった)と、即、言われたり。どちらもつまりは、言っちゃいけないのがお約束だけれど、そして武士の情けみたいなものも必要とは思うけれど、あえて言えば東大受験生という相手への劣等感のなせるわざなんでしょうね。「私はあなたが思っているほど頭は悪くないのよ。ほら、こんなにいろんなこと知ってるでしょ? それに同情心だって人一倍あるのよ。いかにあなたのことを理解しているか示してあげましょうか?」。別の見方をすれば、賢くてやさしい自分ってなんて素晴らしいんでしょうと、自己陶酔に陥っているという面もあるのでしょう。

けれどなんて言うか、そういう弱さって誰にでもあると思うし、大したことでもないのに、それとなく自慢して、あとになって、それこそ主人公の幼なじみじゃないけれど、「舌かんで死んじゃいたい」ような恥ずかしさを経験することもあるから、ズバッと相手の弱点を突くというのは避けたいというのが、常識人かもしれません。

ただ、相手を対等で話の通じる人と見なすなら真剣に向き合って自分の本心を話すかもしれないのに、相手によっては適当に相づちを打ってやり過ごすことがあり、その態度が慇懃無礼なんじゃないだろうかと、薫くんは気にしているわけです。それはそうかもしれないですが、ただ、世の中には他人の立場を思いやる能力に欠けているとしか思えない人もいるのが現実ですし、要らぬいさかいを引き起こしたくないというのも、必ずしも悪いとは言えないと思うのですね。でも、最低限の礼儀だけはいつでも忘れたくないですが。

ところで、この小説には時代背景が色濃く出ていて「学校群」という言葉が出てきました。ウィキペディアによると、学校群制度とは「入試実施方法の一つであり、複数の学校が「群れ」を作ってその中で学力が平均化するように合格者を振り分ける方法」とあります。1967年に実施され、日比谷高校はもろ影響を受けて、制度対象外だった私立に生徒が流れたのだそうです。

それから、主人公が東大法学部を目指した理由として、ありがちな(?)エリート志向ではなく、そこにいた教授に惹かれたのが一因であることがそれとなく述べられています。ネット検索したものを読んでみると、その教授とは「丸山眞男」さんらしいのですが、「市民のための丸山真男ホームページ」がありました。いきなり福沢諭吉の写真が目を引きます。彼は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と語ったんでしたよね。

丸山眞男さん、昔からお名前だけは見かけていましたが…、りっぱな思想家らしいです。あとで調べてみようと思います。昔と比べると、いまは知りたいことがすぐにネットで見つかるので、便利な反面、知りたいことが山のように出てきて何だか忙しくなっちゃうのが困ったところです。

☆読んでくださってありがとうございます!☆
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posted by 野バラ at 19:14 | Comment(4) | TrackBack(2) | 心に感じたこと
この記事へのコメント
Webで読めるとは知りませんでした。文書数は少ないけど、興味深い内容ですね。
読了後の記事を楽しみにしています。
Posted by ひねもじら 乃太朗 at 2006年04月29日 06:46
こんにちは。

記事とは関係ない話ですみません。
前々から気になっていたのですが、カテゴリのところに、カテゴリ名がなくて(0)とだけ書かれたものがあるのですが、あれってもしかしてカテゴリが消せなくなって困ってたりします?
カテゴリ番号から察するに、以下のURL
http://blog.sakura.ne.jp/pages/my/blog/category/edit/input?id=38122
から消せると思いますよ。さくらのブログにログインしてからでないと上記のページにはアクセスできませんが。
まったく見当はずれならすみません。

さくらのブログ、最近になってメモ帳代わりに使ってるんですが、結構便利ですね。
Posted by yosh at 2006年04月29日 17:19
ひねもじら 乃太朗さん、コメントありがとうございます。
>読了後の記事を楽しみにしています。
そんなふうに言っていただいて、恐縮です。書き物は不得手なうえ無知な人なので、一つの記事を書くにも時間ばかり掛かってしまいまして…。経験を積んでいきたいと思っています。
Posted by 野バラ at 2006年04月29日 18:26
yoshさん、ありがとうございます。まさにお見通しのとおり、困っていました。
おかげさまで消せましたが、理屈がわかってない人です(笑)。
Posted by 野バラ at 2006年04月29日 18:34
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